転職エージェントに登録し、担当者とのカウンセリングを終える。数日後、求人が何件か送られてくる。
でも、応募ボタンを押す前に手が止まる。
「応募書類を出すのが、正直ちょっと面倒」 「そもそも受かる気がしない」 「エージェントに言われるまま応募していいのか、不安」
こうして紹介求人を眺めるだけの期間が、一週間、二週間と過ぎていく。
私自身、転職活動でこの状態になったことがあります。今は採用する側でエージェントから推薦を受け取る立場ですが、両方を見てきて思うのは、応募をためらっている間が一番もったいないということです。
理由は単純で、転職エージェントは応募して初めて動き出すサービスだからです。
応募は「合否を取りに行く」だけの行為ではない
まず、考え方を一つ変えてみてください。
応募=受かるか落ちるかの勝負、と思うと、確信が持てない求人には出せなくなります。
でも実際には、応募することで合否以外に得られるものがあります。
- 担当者とのやり取りが増える
- あなたの希望が担当者に正確に伝わる
- 職務経歴書を見てもらう機会ができる
- 自分が今、どのくらい書類選考を通るのかが分かる
順に説明します。
応募すると、担当者が動き出す
登録してカウンセリングを受けたものの、その後ほとんど応募しない。この状態が続くと、担当者からの連絡も自然と減っていきます。
担当者も人間で、しかも何十人もの求職者を同時に担当しています。動いている人と、止まっている人。どちらに時間を使うかは、想像がつくと思います。
一方、応募すると「企業へ推薦しました」「書類選考の結果が出ました」「面接日程を調整しましょう」と、やり取りが自然に発生します。
そして、このやり取りそのものが情報になります。
「この求人は応募したい」 「これは仕事内容が違うので見送ります」
この繰り返しで、担当者はあなたの希望を正確につかんでいきます。最初のカウンセリング一回だけで、あなたの条件を完全に理解できる担当者はいません。応募と見送りの積み重ねが、紹介の精度を上げます。
実際、応募を始めると「これに興味があるなら、こちらも合いそうです」と、最初は出てこなかった求人が出てくることがあります。
応募のたびに、職務経歴書を見てもらう
エージェントを使う以上、書類の添削は使い倒すべき機能です。
「この求人に応募したいので、職務経歴書を一度見てもらえませんか」
これだけで、担当者は目を通してくれます。
ここで一つ、採用側として補足しておきます。エージェント経由の応募には、担当者が書く推薦文が添えられます。あなたの経歴のどこが求人に合っているかを、担当者が企業に説明する文章です。
つまり、担当者があなたの経験を正確に理解しているかどうかが、書類選考の結果に直結します。応募のたびに書類を見てもらい、「この経験を推してほしい」と伝えておくことには、そういう意味もあります。
3社応募すると、自分の現在地が見える
ここからが、この記事で一番伝えたいことです。
転職活動を始めた時点では、「自分は書類選考に通る人なのか」が分かりません。分からないまま考え続けても、答えは出ません。
だから、少しでも興味のある求人に、まず3社応募してみてください。
結果は、こうなります。
3社中2社通過した。 3社中1社通過した。 3社とも通らなかった。
3社では正確な通過率とは言えません。でも、今の応募先と今の職務経歴書で、どのくらい反応があるのかという最初の手応えはつかめます。
そして、この結果は次の行動に直結します。
3社とも通らなかったなら、担当者にこう聞けます。「職務経歴書を修正した方がいいでしょうか」「応募する求人の方向性を変えた方がいいでしょうか」。
漠然と「うまくいかないんです」と相談するより、3社不通過という事実を持って相談する方が、担当者も具体的に動けます。
逆によく通るなら、今の方向性を続ければいい。応募数の見通しも立てやすくなります。
応募は、内定を取るためだけの行為ではありません。自分の転職市場での現在地を知るテストでもあります。
ただし、何でも応募する必要はない
念のため書いておくと、「担当者に忘れられたくないから」という理由だけで、入社する気のない会社に応募する必要はありません。それは自分にとってもエージェントにとっても時間の無駄です。
冒頭に挙げた「言われるまま応募していいのか」という不安も、まっとうな感覚です。エージェントは企業から報酬を受け取る仕組みなので、決まりやすい求人や、企業側が急いでいる求人を勧める場面はあります。悪意ではなく、そういうビジネスだということです。
だから、応募するかどうかを決めるのは自分です。「勧められたから」ではなく、自分の基準で選んでください。
その基準は、こう考えるといいと思います。
「100点ではないけれど、少し気になる」「知らない業界だけど、仕事内容は面白そう」
この程度の興味があれば、応募していい。逆に、条件も仕事内容も引っかからない求人は、勧められても断って構いません。断ることも、担当者に希望を伝える大事なやり取りです。
100点の求人が出てくるまで待っていると、転職活動そのものが止まります。少し気になる、で動き出す。それくらいがちょうどいいと思います。
エージェントは、応募しながら使う
転職エージェントは、求人を送ってもらうだけのサービスではありません。
応募する。担当者が動く。追加の求人が出てくる。書類を直してもらう。結果を見て方向性を調整する。
ここまでやって、初めて使いこなしたと言えます。
まずは、紹介された中から少しでも興味のある求人を3社。
最初から正解を当てようとせず、応募しながら調整していく。
そのくらいのつもりで使う方が、転職活動は前に進みます。

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