職務経歴書にAIを使っても大丈夫?採用人事が考えるおすすめの使い方と注意点

応募・選考

「職務経歴書をChatGPTなどのAIに作ってもらっても大丈夫?」

最近は、こんな疑問を持つ人も多いと思います。

私はこれまで5回転職し、現在は採用人事として職務経歴書を見る側にもいます。

結論から言うと、職務経歴書を作るときのAI活用はおすすめです。

実際、大手の転職サービスでもAIを使った書類作成の支援機能やセミナーが提供されています。使うこと自体は、もう特別なことではありません。

ただし、

自分の経験をAIに整理してもらうことと、 自分にない経験までAIに作ってもらうこと

は、まったく違います。

ここを間違えなければ、AIは転職活動でかなり便利なツールになります。

AIで作った職務経歴書は、採用担当者に分かる?

これは、「分かることもあれば、分からないこともある」が正直なところです。

文章だけを読んで「これはAIですね」と断定するのは難しいです。文章がきれいだからAIとは限りませんし、転職エージェントに添削してもらっている人もいます。

ただ、面接になると話は変わります。

職務経歴書に「採用課題を分析し、新たな採用手法を導入した」と書かれていたとします。私が面接するなら、そこから質問していきます。

「なぜ、その方法をやろうと思ったんですか」 「当時、一番難しかったことは何ですか」 「具体的にどんなことをしたんですか」 「その中で、あなた自身が担当した部分はどこですか」

実際に経験している人なら、ここから具体的な話が出てきます。

でも、自分がやっていないことまでAIに立派に書いてもらっていると、深掘りしたときに急に答えが曖昧になります。

だから、問題なのは**「AIを使ったこと」ではありません。**

職務経歴書に書いてある内容と、本人の経験が一致しているか。 採用側が見ているのは、こちらです。

先に注意点:会社の情報をAIに入力しない

使い方の前に、一つだけ先に書かせてください。ここが一番のリスクです。

職務経歴書を作るとき、実績を具体的に書こうとして、こうした情報をAIに入力してしまうことがあります。

  • まだ公表されていない売上や利益の数字
  • 取引先の企業名
  • 社内システムやツールの名称
  • 公表前の新規事業や施策の内容

これは、在職中の人にとっては就業規則違反になり得ます。

多くの会社の就業規則には、業務上知り得た情報を外部に開示しない旨の規定があります。生成AIへの入力も、これに該当する可能性があります。

対策はシンプルです。AIに渡す前に、情報を一段ぼかしてください。

  • 「A社向けの案件」→「大手製造業向けの案件」
  • 「売上1億2000万円」→「年間売上1億円規模」
  • 「◯◯システムの導入」→「基幹システムの導入」

職務経歴書に書く段階で必要なら、具体名は自分で戻せばいいだけです。AIに渡すときだけ、ぼかす。 これを習慣にしてください。

AIの良さは「自分では気づかなかった強み」が見つかること

ここからが使い方です。

おすすめなのは、まず自分がやってきた事実を、そのまま書き出すことです。

  • 中途採用を担当した
  • 求人媒体を選定した
  • 現場と採用したい人物像をすり合わせた
  • 応募が少ない求人の内容を修正した
  • 入社後のフォローを行った

最初は、このくらいの箇条書きで構いません。

これをAIに渡して、「この経験から、職務経歴書でアピールできそうな強みを整理してください」と聞いてみます。

すると、「現場との採用要件のすり合わせは、関係者との調整力や要件定義の経験として表現できます」といった、自分では気づかなかった視点が出てきます。

自分にとっては当たり前にやっていた仕事でも、外から見ると立派な経験だった。これは一人で書いているとなかなか気づきません。

AIに経験を作ってもらうのではなく、自分の経験の価値を見つけてもらう。 この使い方をおすすめします。

手順は「事実 → 整理 → 自分で確認」

いきなり「営業職の職務経歴書を作ってください」と頼むと、誰にでも当てはまる文章が返ってきます。順番が大切です。

①自分がやったことを書く

文章になっていなくて構いません。担当した仕事、工夫したこと、困ったこと、結果を箇条書きにします。

②AIに整理してもらう

このとき、指示を具体的にすると精度が上がります。

  • 応募先の求人票を一緒に貼る——「この求人に応募します。私の経験のうち、どれが関連しますか」と聞くと、応募先に合わせた整理ができます
  • 数字や固有の工夫を消させない——「私が書いた具体的な内容は残したまま、構成だけ整えてください」と伝えます
  • 候補を複数出させる——「自己PRになりそうな経験を3つ挙げてください」と頼み、選ぶのは自分にします

③出来上がった文章を、自分で確認する

ここが一番重要です。

数字は正しいか。本当に自分がやった仕事なのか。実際の自分なら、その言葉を使うのか。

少しでも「ここまで言っていいかな」と思った部分は修正します。

面接で自分の言葉で説明できない文章は、職務経歴書にも書かない。

これを一つの基準にしてもいいと思います。

AIの文章は、放っておくと「無難」になる

もう一つ、知っておいてほしいことがあります。

AIが整えた文章は、読みやすい代わりに、角が取れて無難になりがちです。

採用側として何十枚、何百枚と職務経歴書を見ていると、「丁寧に書かれているけれど、読み終わって何も残らない」書類があります。文章はきれいでも、その人が何をした人なのか思い出せない。

書類選考では、記憶に残らないことが不利になります。

残るのは、具体的なところです。応募が集まらなかった求人をどう直したのか。現場と意見が食い違ったとき、どう調整したのか。数字はいくつだったのか。

AIに整理してもらったあと、自分にしかない具体的な部分が消えていないかを必ず確認してください。消えていたら、書き戻す。ここは自分の仕事です。

AIは面接対策にも使える

職務経歴書ができたら、そのままAIを面接対策に使えます。

自分の職務経歴書を貼って、こう聞いてみてください。

「あなたが採用担当者なら、どこを質問しますか」

「この実績について深掘り質問をしてください」

「私の回答が抽象的だったら、さらに具体的に質問してください」

かなり実践的な練習になります。

これは、職務経歴書を作った直後にやるのがおすすめです。AIが整えた文章と、自分が実際に話せる内容にズレがないかを確認できるからです。

面接で聞かれて初めて「この部分、うまく説明できないな」と気づくより、事前に気づいた方が直せます。

AIは「代わりに書く人」ではなく「編集者」として使う

AIを使って職務経歴書を作ること自体を、私は悪いことだとは思いません。

文章を整理する。経験を棚卸しする。自分の強みを探す。伝わりやすい表現を考える。面接の練習をする。

こうした使い方なら、積極的に活用していいと思います。

ただし、AIが作った立派な文章に、自分自身を合わせようとしないこと。

職務経歴書の主人公は、AIではなく自分です。

AIに経験を作ってもらうのではなく、自分の経験をうまく見つけてもらう。

そして最後は、自分の言葉で説明できる職務経歴書にする。

この使い方なら、AIは転職活動のかなり頼れる相棒になると思います。


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