転職したい会社を見つけたら、口コミサイトを確認する人も多いと思います。
「残業が多い」 「評価に納得できない」 「社内の雰囲気が独特」
こうした口コミを見ると、一気に応募する気がなくなることもあります。
先に、採用側の人間として正直に書きます。
私自身、自分が働いてきた会社の口コミを見返すと、「これは確かにその通りだな」と思う内容が、正直かなりあります。
口コミには、会社の実態が反映されていることがあります。だから無視するのは間違いです。ただし、一つの口コミを会社のすべてだと思うのも間違いです。
この記事では、その間の「ちょうどいい距離感」を説明します。
① まず「いつ書かれた口コミか」を見る
最初に確認したいのが、投稿日です。
特に5年以上前の口コミは、今とは会社のフェーズ、経営者の考え方、組織体制、制度が変わっている可能性があります。
当時10人だった会社が100人になっているかもしれませんし、経営者や管理職が入れ替わっていることもあります。
昔の口コミだけで判断するのではなく、最近の口コミでも同じ内容が繰り返されているかを確認しましょう。
なお、口コミの件数自体が少ない会社もあります。特に中小企業や地方の企業では、口コミが数件しかないことは珍しくありません。
件数が少ないのは「情報が集まっていない」だけで、「悪い会社」という意味ではありません。その場合は口コミに頼らず、面接や会社見学で確認する比重を上げてください。
② 求人票にない「入社後ギャップ」のヒントを探す
口コミで特に見てほしいのは、求人票では分かりにくい部分です。
- 意思決定のスピード
- 仕事量に対する待遇面の納得感
- 評価のされ方
- 部署間の関係
- 組織の雰囲気や文化
給与額や休日数は、求人票で確認できます。しかし、「仕事量や責任に対して待遇に納得できるか」「どんな空気の中で仕事をするのか」までは、なかなか分かりません。
口コミには、こうした入社後にギャップを感じそうなポイントのヒントがあります。
特にスタートアップや一族経営の企業では、経営者の考え方が組織に色濃く反映されます。口コミとあわせて、社長インタビューや採用ページも見て、経営者がどんな会社をつくろうとしているのかを確認しておきましょう。口コミの不満と経営者の発信を並べて見ると、その会社の実像が立体的に見えてきます。
③ ネガティブな口コミは「共通点」を見る
口コミサイトは、満足した人より不満を持った人の方が書き込みやすい場所です。だから、ネガティブな内容が目立つこと自体は普通です。
見るべきは、内容の共通点です。
一人だけが書いている不満なのか。それとも、年代や職種の違う複数の人が、同じことを書いているのか。
特に組織文化や雰囲気について、時期をまたいで同じ内容が繰り返されている場合は、それがその会社の体質である可能性が高く、自分に合うかを考える材料になります。
一方で、どんな会社にも良い部分はあります。ネガティブな口コミを見つけても、「こういう面はある。ただ、これが会社のすべてではない」というスタンスは忘れないようにしましょう。
気になった点は、面接で「中立に」確認する
口コミで気になる点が見つかったら、面接で確認しましょう。
このとき、「口コミに残業が多いと書いてあったのですが」と聞く必要はありません。聞かれた側が身構えてしまい、本当のことが返ってきにくくなります。
聞き方を、中立な質問に変換します。
- 残業が気になるなら →「皆さんの平均的な一日の流れを教えてください」
- 評価が気になるなら →「評価制度はどのような仕組みですか」
- 定着が気になるなら →「配属予定の部署は、どのような年次の方が多いですか」
採用側から見ても、こうした質問は「入社後を具体的に考えている応募者」として、むしろ好印象です。口コミで得た仮説を、面接で検証する。この使い方ができると、口コミは不安の種ではなく、確認の道具になります。
質問しにくければ、「観察」でも分かる
それでも聞きにくい、という人もいると思います。その場合は、面接で会社を訪れたときの観察でも、分かることがあります。
- すれ違う社員の表情や挨拶、社内の声のトーン
- 壁の掲示物。目標数字の張り出し、標語、表彰、社内イベントの写真など、そこには会社が大事にしているものが表れます
- 面接官の言動。時間を守るか、こちらの話を最後まで聞くか、質問への答えが具体的か
面接は、会社があなたを見る場であると同時に、あなたが会社を中から見られる数少ない機会です。
口コミに「トップダウンが強い」とあった会社で、壁一面に数字と檄が張られていたら、口コミの信憑性は上がります。逆に、口コミの印象と実際の空気が良い意味で違うこともあります。目で確かめたことは、匿名の口コミより確かな情報です。
まとめ
口コミは、「この会社は良い・悪い」を決めるためのものではありません。
求人票だけでは見えない部分を知り、入社後のギャップを減らすための材料です。
最近の口コミか。共通点はあるか。経営者の発信と並べてどう見えるか。そして気になった点を、面接での質問や、訪問時の観察でどう確かめるか。
この確認は、同じ理由での退職を繰り返さないためのプロセスでもあります。応募先の確認がなぜ大切かは、こちらの記事でも書いています。
転職回数が多い人は転職理由をどう伝える?採用人事が見る3つのポイント
口コミを答えとして見るのではなく、会社をもう一歩深く知るためのヒントとして使う。このくらいの距離感がちょうどいいと思います。


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